祈りにも似て

生きることは深爪の痛みに似ています

鬱のときの呼吸の仕方

キリンジ『Drifter』の歌詞には「たとえ鬱が夜更けに目覚めて 獣のように遅いかかろうとも」という一節がある。初めて聴いた時には衝撃で、耳がそのフレーズを捉えた瞬間あまりにびっくりしてスマホを慌てて引っ掴んでその部分だけ巻き戻して聴いたほどだっ…

「女(じぶん)の体をゆるすまで」を読んで

ぺス山ポピー『女(じぶん)の体をゆるすまで』*1を読んで思ったことを書きます。単行本が一昨日届いたので。後にも書くように自分個人の読書体験の話なので、あまり感想や紹介の体は為さないです。2017年の9月、つまり今から4年前、私はこのブログに以下の…

私の話

体験と伝聞からなる不正確な、つまり極個人的な文章であることを初めに書いておく。そう言い訳しておかなければ、当事者の数だけ違う経験を持つような話題について自分のことを書いていいのかわからなくて、結局書かないで終わりそうだから。実際、何度も書…

国立市公民館人権講座「どうして、私たちは見た目で判断してしまうのか」3回目 感想

国立市人権講座「どうして、私たちは見た目で判断してしまうのか」、講師は和歌山大学の西倉実季さん。今日午後、オンライン受講してきました。全3回の最終回、しかもいつもより時間が長いし最後のほうにはワークショップもあるということで結構緊張したの…

国立市人権講座 2回目

国立市人権講座「どうして、私たちは見た目で判断してしまうのか ″綺麗″や″かっこいい″との向き合い方」第2回、「あなたを閉じこめる『ずるい言葉』〜自分らしく生きていく強さとは〜』、講師は早稲田大学文学学術院の森山至貴さん。本日オンライン受講して…

国立市公民館人権講座『どうして私たちは見た目で判断してしまうのか』1回目 感想

国立市公民館で行われた、 〈人権講座〉『どうして私たちは見た目で判断してしまうのか』“綺麗”や“かっこいい”との向き合い方 というのを受講してきました(オンラインです)。 第一回は講師 長田 杏奈さん(美容ライター)。 「美容とルッキズム 〜生きてるだけ…

日記 20.11/13

高齢の祖母と同居していることもあり四月頃からは意識して外出をかなり減らしている。だからというわけでもないが不思議と毎日やることをやっているうちに夜になっている。いろいろなことを思っている気はするけど、なにかひとつのまとまりにはなりきらない…

散り散り

たぶん私はまだ、本当に二度と立ち上がれない、みたいな経験はこれまでしてきていないので、そういう赤子のような状態でふわふわ生きているままのやばい甘ったれの考えることでしかないんですけどつらかったこととか、時期とか(定義は曖昧にします)に対して…

毛布を奪うな

朝、このツイート(https://twitter.com/3h4m1/status/1186821269221564416?s=21)とnoteの文章を読んで、ああ、と思って、最近考えていたようなことを書きました。書いてみて、これは本当は色々参照しながら間違いのないよう腰を据えて書かないといけないもの…

王の不在に寄せて

祖父の介護計画書の「生活の目標」には、「手伝ってもらって家での暮らしを続けたい。」のあとにいつも「妻は自分が守る。」と書いてあった。それを見かけるたびに、砂利を噛んだような居心地悪さを感じた。寝たきりで、自分ではほとんど何もできないのに暮…

切なさと生活

介護の話をします、といっても自分の身の回りの、家の中の、半径3m圏内の話でしかありません。こういう解決もなく重いだけの話題はなかなか話に出すのに勇気が要るのですが、一時期介護で家がにっちもさっちものときに友人へそのことについて話したら、思っ…

近況

ブログを書かないで放置したままそろそろ一年経ってしまいそうで、とりあえず気楽に書けるものから、と思い特に意味はなく近況報告をします。これまでブログに書いてきたようなことは相変わらず考えたり怒ったりしているのですが、なんだかちょっとさすがに…

水を得た魚

『シェイプ・オブ・ウォーター』を見てきた。水好きにはたまらない映画だった。そこで、少し水の話をする。 一年ほど前、住んでいる所の市民体育館で開かれている水泳講習会に通っていた時期があった。もともと海や川で水遊びをするのが好きだったので、泳げ…

うつの話

うつ病の診断を受けてから、2年ほど経ちます。はっきりしたきっかけや原因は分からないままです。早く治る人は3ヶ月、なんて聞くけれど私の場合はそうはいかなくて、ずっと状態の良い時と悪い時とを繰り返していて、全体としてみれば回復傾向にはあるけれど…

かわいそうな子

優生保護法のニュースに関連して、「(知的障害者にこどもを産ませて)責任が取れるのか、不幸なこどもが増えるだけだ」というコメントをいくつか見た。つらくなってそれ以上は追っていないけれど、そういう意見の人も世の中にはいるのか、と思った。 以前、「…

『幕が上がる』感想後編

感想後半。 合宿の際に、「東京」で「演劇」を続ける道が、小劇場の舞台に立つ先輩の姿を通して、さおりたちに示される。そしてそれは、楽しいばかりでないことが、久しぶりのさおりたちの顔を見て思わずうつむき、涙ぐむ先輩からも十分示唆される。吉岡先生…

『幕が上がる』感想前編

なんで演劇やってるの? もし現役時代の自分がこの質問を投げかけられたらどう答えただろう。 演劇部は、そして部活での演劇は、条件が重なれば、さしたる覚悟を持ち合わせずとも入部できるしそのままなんとなく卒業まで続けることもできる。演劇は、セリフ…

素直に

わたしの生きづらさの何割かは、女性である自分との関わりで生まれていることに気づいている。だから、本当は大学ではジェンダーに関する授業を多くとれば少しはつらさが整理されるかもしれないと思ってはいたけれど、なんとなく怖くて、近寄れないでいた。…

気づき

自分に対して、常に、客観的視点から見ての評価をなすように心がけていたことに気がついた。第三者の目から見て頑張っていると思われる水準に達していなければ、それは頑張っていないのと同じだということ。それってとてもしんどい考え方だ。無意識にやって…

3分間、舞台の上で自己紹介をしろと言われたことがある。何も思いつかなくて、「何も思いつかない」という話をしたら、その場は凍り指示を出した人にはいたく呆れられた。しかし、何もない。何もないのだ。高校から演劇に関わってきて、そのなかで、あなたに…

深爪の痛み

ブログの紹介文に「生きることは深爪の痛みに似ています」と書いた。少し前から、多分そうなんだろうな、と思っている。 恋の最中に何か別のことを考えるシチュエーション、というのが好きで、例えばこのキスはすでに思い出くらくらと夏の野菜の熟れる夕ぐれ…

抵抗

どうして成人式のとき、振袖を着た自分に肯定感を抱けなかったのか、ずっと考えていた。ふと思った。着物を着ること自体がいやだったのではなくて、着物を着た途端に「おしとやかなお嬢さん」として扱われたことにひっかかりを感じたのかもしれない。あのと…

はじまり

あらゆるものは、極から極へと引かれた線の上のどこか、あるいはグラデーションの濃淡のどこか、固有の目盛りに当てはめられない位置に曖昧に存在するにすぎない。 わたしはいつでも寄る辺ない気持ちを抱えているけれど、その理由はきっとそういった曖昧さに…